結構前から夏の終わりの兆しは感じていて、でも日中の日差しは相変わらずなのでなかなか秋に移行できないでいたが、今日は間違いなく秋の始まりだった。非公式な秋宣言。最近スマホは寝室に持ち込まないルールを設けていて、一方で目覚まし時計は子供によって鈍器と化す。したがってよほど大切な予定がない限りはアラームなしの生活を送っているのだが、まだ薄暗い朝7時に起きるべきか判断を迷う。だがこれもサマータイムの終わりと共に解消されるだろう。涼しくなるのは天気予報でわかっていたので一枚しか持っていないウールのスラックスを引っ張り出してきて、これまた一枚しか持っていない無地の黒Tシャツにリネンのボンバージャケットを羽織った。足元はいつもの白いテニスシューズ。こういうファッションは最近全然好きではないが、1ヶ月に一回くらいならありかもしれない。オフィスを出た時、3時前くらいだったか、燦々とした日差しの中空気は冷たくて、ああこれが秋晴れだよな、と思った。最近は音楽をあまり聞かなくなった。というか、聞く時間がなくなった。通勤の10分間にだけ聞く。この1ヶ月くらいboygeniusのNot strong enoughとB'zのハピネスを繰り返し聞いていたが、その秋の日差しがaikoの夏にマフラーを選曲させた。真逆の季節に冬物を売るファッション業界への皮肉が込められた曲、というのは冗談だが11年前の7月、パリでピーコートを着ていた友人を思い出させた。フランスに留学していた彼は、帰国の際に持ち物がカバンに入りきらないので服は羽織れるだけ羽織って汗だくになりながら地下鉄に乗っていた。また同じ年の8月、大阪の商業ビルで信じられないくらい厚着をしていた男がいた。今よりはいくらかマシだったのかもしれないが、外は間違いなく暑かった。暑くないか?と聞いたら、暑い、と苦笑していた。ファッションが好きな人間はまったくおかしなやつらばっかりだと思った。aikoはこの10年新譜はほぼ追っていないが、昔は結構熱心に聞いていた。あまじょっぱさがよい。ビタースウィートでなく塩で甘味をコントロールしている。幸せの最中を歌った曲もあれば、過去の恋を懐かしむ歌もある。でもそのどちらとも切ない。夏にマフラーだって惚気の歌なのだが別れの予感を含んでいる。カブトムシの彼とゴールインしていたら、もしかしたら歌手としてはもっと短命だったかもしれない。
そんなことを考えながら、来るべき冬のためにカシミヤのストールを買った。










