クリスマスがやってきた!

先週末いくつかの現実的な用事のためにサンフランシスコに行った。ホリデーシーズンを控え、というか真っ只中で、街は完全に浮かれていた。ギフトバッグをさげてあるく人たち。サンタクロースのコスプレをした男女がそこらじゅうを歩き回っている。酔っ払った女は横断歩道でなにかを叫んでいた。いつもは空いている料理屋も、この日は入るのに20分ほど待たなければならなかった。彼らにとって、たぶん正月はアディショナルタイムのようなもので、ホリデーは基本的にクリスマスに終わりという感覚らしいから、12月20日あたりからそわそわする日本人と、時期はずれているものの基本的には同じである。テレビのニュースでは、ホリデーシーズンのパーティでメンタルヘルスになるアメリカ人が増えていると言っていた。街ゆく人は心の底から楽しんでいるように見えたが、なにかを忘れるために酔っ払っているのかもしれない。

さて、クリスマスは私にとってそんなに親しみのあるイベントではないが、職場で簡単な食事会をやるので、アグリーセーターが欲しかった。昨年までそんなものの存在も知らなかったが、クリスマスにはそれぞれのアグリーセーターに身を包みパーティに身を興じるらしい。そういえば、サンフランシスコでも赤や緑のセーターを着ている人たちを目にした。日本人はすぐに外国の文化をソフィスティケートする傾向にあるし、どこぞのファッション雑誌はおしゃれなアグリー風セーター(5万円)を提案しているのではないかと想像するが、アグリーセーターは文字通り、本当にダサい。今年こそは、と正統なアグリーなセーターを求めたものの、しかしターゲットとかで売っているような化学繊維で編まれたダルダルのセーターを、なかなか買う気が起きないのである。古着に一縷の望みをかけたが、時間がなく断念した。

今年も普段着でクリスマスを迎える物足りなさを感じながら、年末帰国時のおみやげとしてTシャツを買うためにIn-N-Outのオンラインストアを開くと、なんとオリジナルのアグリーセーターがある。当然ハンバーガー柄である。値段にして約1万円、1年に1回の使用と考えるとコスパは確実に最低レベル。クオリティに一抹の不安は感じたが、アグリーセーターにクオリティなど求めるのが愚かというものである。早い、うまい、安いが合言葉の同店だけに、即日発送。無事にクリスマスまでに手に入れることができた。

うん。まあ悪くないと思う。ダサいことはダサい。アメリカでしか買えない、みたいな所有欲も満たしてくれる。そういえば私が買ったのは2020年モデルだが、他には今年の最新モデルが売られているのみで、2021年、2022年のものはなかった。そもそも販売がなかったのか、あったが売り切れてしまったのか。後者だとすると、ダサいセーターのなかでも一際ダサかったのか、アグリーセーターとしてはイケてる方だから逆に売れ残ったのか。気になるところではあるが、今年のクリスマスは寂しい思いをしなくても良さそうだ。