靴が見つからないのvol.03

タイトルに反して、靴が見つかった、という話。

鏡の前で靴を合わせる時間がない朝も(我が家に足元まで映せる鏡はないが)、どんなコーディネートにもハマる白いシューズを下駄箱に置いておけば、1日の悩みの1/10くらいは減らせると思っている。しっくりくるものを探していた。そんなに熱心に探していたわけではないが、おそらく見つかったと思っている。NOVESTAのITOH。

vol.01から、対象としているシューズの条件とか好みを書いてみたわけだが、結局論理的にする買い物は性に合わないようだ。かといってこの靴は通販で買ったので、フィーリングでハマったというわけでもない。コットンで(レザー)、どこでも手に入れられ(ほとんど売ってるとこ見たことない)、価格も手頃(3万越え)という、これまで挙げた条件には、かろうじて白いこと以外一致しない。だが、届いたものを履いた瞬間に、求めていたものと限りなく近いことを感じた。New Balanceの経験から、あまりぼてっとしたタイプの靴が好みではないことは薄々感じていたが、この靴でそれが確信に変わる。コンバースオールスターとか、このNOVESTAのITOHみたいに、トウに向かってすらっと伸びるスニーカーが好きらしい。実際私自身が好き、というよりも私が履くパンツが、そういう靴を好むのだ。

 

汚い靴と、汚いベランダ

2023年末をもって私的定番を退任することとなった現行(2022年春購入)のスタンスミスと比べてみたい。まず素材。スタンスミスがサスティナブルレザーなのに対し、ITOHは牛皮。人工か天然か、というのはもともとあまり興味はなかったのだが、1年半履いてみて人工レザーを気に入らなかったのは、履きジワがかっこよく入らないところで、まあこれはアジが出ないと言い換えてもいい。ITOHはまだ2週間ほどしか履いてないが、それでもアジの片鱗を見せている。人工レザーは汚れも気になる。拭いたら落ちるのだが、私は滅多にスニーカーの手入れなどしないので、多少の汚れは受け入れるくらいの度量は、靴側にも持っていて欲しいところ。

 

素材に加えて、ワイズの細さが、ITOHにシュッとした印象を与えている。スタンスミスも他人が履いている時は割りとシュッとして見えたのだが、こうして比べてみると完全にぽっちゃり体型である。アウトソールを測ってみると、最も横幅の広い親指の付け根の部分で5mm、最も狭いかかとの部分は1cmもの差がある。ITOHのサイズはUKサイズで9。スタンスミスは8 1/2。割と余裕がある感じがするスタンスミスに対し、ITOHの履き心地はややタイト。私の場合、ほとんど年中分厚いソックスを履いているので、もうワンサイズあげてもいいかもしれない。

 

ソールはどちらもラバーだが、インナーソールの違いのせいか、履き心地もITOHの方が良い(ITOHはインナーソールも革)。これは好みだと思うが、クッション性とか、別にいらないのだ。布団も靴も、硬い心地のほうが個人的には良い。

 

なお、念のためにネットでチェックしたら、STAN SMITH LUXという名前で、レザー版スタンスミスも復活しているよう。アディダス公式の商品コメント欄は、レザースミス復活の祝福で溢れかえっている(合皮になって売上落ちたのだろうか)。だがもう私には不要である。ITOHがあるので。

 

そういえば最近いろんなところで、後継者不足でビジネスをたたむかもしれない、みたいな噂を耳にする。真意は「だから今買った方がいいですよ」というセールストークだと信じたいが、2022年末で事業終了したホワイトハウスコックスのように(結局日本の会社が商標権を買い取ったようだが)、いつなにがおこるかわからない。今年1年じっくり履いて確信が得られたら、ストックをそろえておいてもいいかもしれない。