Stevenson Overallのブラックパンツ

Stevenson Overallのウエスタン風パンツ

 

朝食を食べながら、ヴァージンギャラクティックの打ち上げのライブニュースを見ていた。ヴァージンギャラクティックにとって、これは初の民間人を乗せた宇宙旅行だったらしい。

宇宙空間や外から見た地球、それに宇宙船(見た目はほとんど飛行機だったが)内部の様子は、合成か、スタジオで撮られた映像のようで、映画で見るそれの方によっぽどリアリティを感じてしまう。1時間ちょっとの旅行に何千万という大金を払うなんて、庶民にとっては全く現実味のない話なんだから、当然と言えば当然かもしれない。

それよりも、一般搭乗者(今回は3名の一般人が搭乗した)の80歳の男性が、2005年にチケットを購入し、18年もの時を経てようやく宇宙旅行を実現させたというエピソードのほうが気になってしまった。そんなに長い間、何かを待ち焦がれたことも、追いかけ続けた経験も僕にはない。じっくり待つ、コツコツやり続ける、みたいなことがとにかく苦手なのだ。

 

Stevenson Overallのブラックパンツを購入したのは、12年前くらいだと記憶している。この頃は、個人的に特にファッションが楽しかった時期で、色々手を出したのだが、今も手元に残っているものは多くない。このパンツは、買ってからの数ヶ月を除けば、取り立ててよく履いたわけではない。いやむしろここ数年は、ほとんど履いてない。しかし、幾度とない飽きという名の粛清や、資金難による売却にも、なぜか耐えてこられたという事実は、結構興味深い。この、「使用頻度高い(お気に入り)」でも「セカンドバリューがある、もしくは手に入りづらい(僕の場合これに該当するものはほぼない)」でもない、「なんとなく手放せない」理由を言語化したいといつも思っているのだが、なかなかうまくいかない。しかしこういったものは経験上、ある時期に突然輝きを増してくる...今まさに。

 

コード織の表地と、しっとりとしたテンセルの裏地

 

剣先型のベルトループ。ウエストバンドはなし

 

ひし形のスナップボタン

 

これらのディティールの一方で、シルエットは弱テーパードで履きやすい。黒いパンツはのっぺりしてしまい、意外と合わせづらい印象があるが、縦畝の生地のおかげで表情が生まれている。シンプルに夏はTシャツ、寒くなってきたらパーカーとかカーディガンを合わせたい(理想はホアキンフェニックスのファッション)。

6年後、このズボンを履いているのか、楽しみではある。