Taiga Takahashiのデニムジャケット

Taiga Takahashiのデニムジャケット

 

韓国ドラマ「キングザランド」が終わってしまった。大多数の人と同じように、梨泰院クラスとか、愛の不時着から韓国の連続ドラマにハマり、ネットフリックスでドラマラソン継続中。復讐物か、恋愛物、時々コメディ。今回のキングザランドは恋愛物。韓国ドラマって「型」の再現度がめちゃくちゃ高いと思う。例えば恋愛ものの一つの型として、財閥の御曹司と平凡な家庭出身の女性の恋がある。暮らす世界が違うから、当然最初はうまくいかない。御曹司は、自分にはないものを女性の中に見つけ、アプローチしていく。女性は戸惑いながらもそれを受け入れる。身分の違う恋の前途は多難。それをささえる友人たちとの絆。小気味のいい効果音と、そして、イチャイチャという名のスパイスで、全体のムードをコントロールする。仕上がりを決めるのはやはりストーリーだが、ベースとなるスパイスを受け入れられるかどうかが、この手の韓国ドラマを楽しめるひとつの基準となる様な気がする。隠れていちゃつく二人を見ながら、「バカだねえ」と言いながら、隣で見ている妻の顔も、同じ場面でにやけている。キムタクは、何を演じてもキムタクだと揶揄されることがあるが、個人的にはそうは思わない。いや、もしかしたら何を演じてもキムタクなのかもしれないが、言い換えればキムタクという「型」の再現度が高いとも言える。そしてその型をおさえながら、スパイスを効かしていく脚本が、みんなを魅了したんじゃないだろうか。

 

このデニムジャケットを初めて見た時、日本的なものを感じたのを覚えている。日本的なものって?と聞かれると回答に困るのだが、なんとなくそう感じたのだ・・。もしかしたらそれは、フロントのプリーツのためかもしれないし、スナップボタンの刻印がそう思わせたのかもしれない・・・しかしそれらは全て間違いで、これらのディティールが、1950年代のワークジャケットからきたものだと公式サイトにきちんと書かれている。

モデルとなったジャケットをみると、このデニムジャケットが忠実に「型」を再現していることがわかる。すでに70年も前の服が、なぜこんなにも新鮮なのか。型自体の強さももちろんのこと、型の再現力(そして素人目には見えない細部の調整)がこの新鮮さを生み出したのでしょう。

 

このジャケットを着る時、ぼくは襟付きのシャツをきて、ネクタイを締める。細身のスラックスを履き、革靴を履く。鞄は持たない・・・すみません、こんな着方はしたことがありません。しかし、だらしない格好(つまり自分の普段着)に合わせると、なんだか後ろめたさのようなものを感じてしまうのだ。

 

米国生まれ(綿が)、岡山育ちのオリジナル生地と、アールデコ調の飾りがついたスナップボタン。

 

2本針のシンチバック。

 

アメリカベースの服なのに、タグの表記はイギリス英語。 colorではなく、colourと書かれている。

この服を着て出かけると、結構な確率で声をかけられる。1度なんかは、脱いでみせてくれと言われて、あちこちを点検した後、「見た目はすごく構築的なのに、触ってみるとなんて軽やかなんだ」という高度なコメントを残した人もいる。そしておもしろいことに、ほとんどみんなが、「それって日本のブランドでしょう?」というのだ。僕の拙い英語力では、何故そう感じたのか深く聞くことはできなかったが、もしかすると日本人タカハシタイガの美意識のようなものを感じ取ったのかもしれない。